第一回のSILs Program開催のご報告と「学際的研究について」
内容
・・・第一回 SILs Program開催のご報告
・・・「学際的研究」を行うこと
・・・「学際的研究」の意義について
第一回 SILs Program開催のご報告
嘉澤です。
先日5月18日(火)より、第一回のSILs Programである「Yes and..」がスタートしました。申し込んでいただいた方々、またProgram leaderである渡辺さんには本当に感謝しております。
一方で、「合意形成」のプログラムは人数不足により開講に至ることが出来ませんでした。申し込んでいただいた方々、そしてProgram開催に向けて準備をしてくれている平田くんには非常に申し訳ない気持ちでいっぱいです。後期に開催出来るようこれから更に準備を進めてまいります。また申し込みを告知いたしますので、ぜひ興味を持っていただいた方はお申し込みください。
さて、第一回のSILs Programである「Yes and…」のテーマは「学際的研究」と発表されました。学際的研究とは何でしょうか。WEB上では
「学際的研究」とは多くの学問分野の境界を越えて全体論的アプローチを作成する研究戦略のこと(Wikipediaより)
と表記されていました。
今回はこの「学際的研究」について私の考えを書いていきたいと思います。あくまで私見ですので、正確な考え方や定義とは異なることもあると思われます。その際はぜひご指摘いただければと思います。
「学際的研究」を行うこと
「学際的研究」は、複数の学問分野にとらわれずに問題にアプローチすることのようです。
では、研究をこれから始めようという研究者が学際的に研究を行おうと考えた時、まず行うべきことは「使用する学問分野の選択」なのでしょうか。私はこの方法で研究を行うと、研究を進めることが非常に難しくなると考えています。
私は学際的研究で最も大事なことは、
「問題意識」
だと考えています。
「学際的研究」について書かれている定義は、「何か新しいことを始めよう」と考えている人にとっては、とても魅力的なものだと思います。既存の分野に、他分野を加えると確かにそれだけで新規性を表現出来るためです。
「学際的研究」の意義について
しかし、私はこの「学際的研究」についての定義自体に疑問を持っています。「学際的研究」の素晴らしさは複数の学問分野に渡って研究を行うことではなく、問題解決に向けてのアプローチに柔軟性を許していることだと考えています。なので複数の分野を導入することに固執することが、「学際的研究」では無いと考えています。
つまり、「自分の立ち位置から考える問題解決に向けて何をすべきか」について聖域なく考えた結果、経済学でのアプローチで解決できることなら経済学の領域で、経済だけではなく情報学も導入したほうが良い結果が期待できるなら情報学を、と問題解決に対して柔軟に学問領域を選択するということです。
これを聞くと、「一つの学問を学ぶだけでも大変なのに、複数をやることなんて無理だ」と思う方も居られるかもしれません。確かに「学際的研究」はとても応用的で、簡単なものではないと考えています。
しかし、「複数の学問を学ぶ必要がある」というのは100%正解と言い切れるものではないと考えています。あくまで私見ですが、学際的研究について必要な学びとは「問題解決に必要なことを学ぶ」ということだと考えています。
例えば「経済だけでなく情報学も使って研究をやる」となった場合、まずはマクロ経済学の本を一からやって、次に情報学でデータ構造を一から学んで・・・こんなことをしていたら、ずっと研究を行うことが出来ません。私が最初に書いた「使用する学問選択から始めると、研究が進まなくなると思う」ということは私がこのように考えているためです。
以上のように、「学際的研究」には「問題意識」が重要で、この「問題意識」がはっきりしていなければ「学際研究」のアプローチ選択が正確に出来ません。検討外れな勉強をして時間をどんどん浪費していってしまい、いつまでも研究が進まなくなってしまいます。
「学際的研究」が難しいものであることは事実であると思います。問題解決に向けての全体像をしっかり把握する必要がありますし、高校生の段階で文理を分けてしまう日本の教育を受けてきた人にとっては特にですが、科目ごとの苦手意識が強いため、なかなか「学際研究」を受け入れることも難しいのではと思います。
一方で「学際的研究」は問題を俯瞰的に見る能力や、方法の取捨選択をする決断力など、大人として社会で生きる上でも必要な要素が非常に多く盛り込まれていると思います。
「研究を通して、人間力を向上させる」
「学際的研究」はそのような可能性を感じさせる研究手法であると感じています。
今回、Yes and…で、どのような結果が出てくるのか、とても楽しみにしています。